2007年05月28日

弱者を取り込む冷酷システムの構築は着々と…

? 105.jpg 長崎・外海(出津)『沈黙の碑』―「人間がこんなに哀しいのに、主よ、海があまりに碧いのです…遠藤周作」 (クリックで拡大)

昨日わたしは、朝早く、東京から湘南に向かう電車に乗っていました。車中には、土曜の夜を東京のどこかの盛り場で過ごしたのでしょう、様々の皮膚の色をした米軍兵士らしき若いアメリカ人も幾人かいました。皆、遊び疲れて眠っていましたが。横浜で横須賀線に乗り換えるときに、立ち上がって出て行く彼らの表情が一瞥されましたが、その妙にまじめそうな目もとが印象に残りました。アメリカの兵士たちのうちには、家が貧しいので、大学に行くためにやむなく志願しているような人々も多いと聞きます。彼らもそんな身の上なのかしら…と、ふと思いました。横須賀をはじめ日本にいる米兵は、皆、前線に向かう戦闘部隊だそうですが、今見た彼らが、イラクにも行くのであろうかと思うと、やっぱり心のどこかでは遠い世界のことだと思っていたかもしれない戦争が、急にリアルに感じられました。…そう言えば、わたしの一人の教え子は、「学資かせぎです」と言って、自衛隊に入りました。今は潜水艦に乗っているそうです。時々帰ってくる彼の顔は、訓練のため浅黒く日焼けし、たくましくなり、まるで別人のようですが、その表情からは、気ままな学生だった以前のおおらかさは消えたようにも感じられます。「先生、自分の前では国のやることの批判なんてしないでくれ」という目でわたしを見ます。国中にこういう若者が溢れていったとき、その社会の空気はどんなに息苦しくなることでしょう…。
日曜日に、久々に京都で集まった元の「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会(あんころ)」関係の方々の集会の報告と、呼びかけ人であった大内裕和さんのアッピールの映像です。↓
「改悪教育基本法の具体化を許さない5・27全国集会」(京都)の報告
大内裕和さんの問題提起「格差社会と戦争国家化」(ビデオプレス映像)
★ 大学の非常勤講師の方々の困窮については、そういえば、これまでは、「しょうがないか…、でも専任として就職するまでのことだから…」と、是認させられてきたと思います。言われてみれば、これは当人にとっても国にとってはとんでもないエネルギーの損失です。大学自体に対しても、この頃は、補助金を盾にした文部科学省のコントロールはますますつのっています。「学問の自由」なんていう言葉はどこにいっちゃったのだろう。が、みんな黙って上目使いで唯々諾々するばかり。何か文句を言う「ヘンな人」には冷たく鋭い視線と黙殺…。みんなあたまのいい人ばかりです。日本的ファシズムの官僚的冷酷システムの構築はすでにちゃくちゃくと進んでいると思います。↓

「放っておいたら大変」 大学非常勤講師の惨状(JANJAN 5/26)

タグ:教育基本法
posted by みつのぶ at 22:46| 東京 ????| Comment(3) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 大学非常勤講師の世界、この記事のとおり非常に大変だと思います。雇用の不安定さや保険の問題、収入の少なさ、などなどに加えて、そもそも十分なコマ数の仕事をもらえていない人がかなりいるのではないかと思います(それどころか場合によっては大学や専門学校非常勤の仕事が全くなく、それ以外のアルバイトに手を出しているケースすらあるのではないかと思います)。そういう意味では、労働環境としては派遣社員よりなお悪い面があると思います。

 そもそも90年代半ばよりの大学院拡充は何だったのだろうとしばしば思います。。立派に業績を挙げて常勤職に就職された方ももちろんいるわけですが、そうでない人も(業績があっても就職の見通しがない人も)相当数いるのではないでしょうか。また大学非常勤の人口は派遣社員やフリーターに比べてずっと少なくて、社会問題としてあまり認知されてこなかったのではないかと思います。
Posted by ライムンド at 2007年05月29日 19:06
こんばんは!28日にこちらのブログにレポートを掲載していただいた村瀬(カトリック信者)です。今後ともよろしくお願いいたします。

「弱者を取り込む・・」読ませていただきました。その米軍兵士のことや自衛隊で働いていらっしゃる方のお話と、JANJANの「非常勤講師の惨状」のお話。大学の方は、大学教員や職員に知り合いがおりますので、そういった現状をお聞きすることもございます。

まずは「学問の自由」という点ですが、一般企業と違い、仕事の中には職業倫理が特に必要なものがあって、新聞記者もそうですが、教師もまたその代表的職業と言えるでしょう。
そういう職場に「市場原理」が導入されたらどうなるか。儲かる研究にしか費用がでなくなるでしょうし、産学共同のマイナス面(不純な研究)も前面に出てくるかもしれません。またかつて「天皇機関説」で政府による思想統制のお達しを、大学側が経営を守るため、大学の自治という魂を売って無抵抗で受け入れてしまうことにもなるかもしれませんね。

冒頭に書きました拙文を掲載いただいた28日、その箇所の下方に山田洋次監督の東京新聞が出ており、クリックして読みそのまま下へスクロールしたら「岐路に立つ・・2」があって、それも読みました。半藤さんと田口ランディさんの対談でした。

その中で田口さんが、昔、ご自分は低所得者層にいて、そこから這い上がったと。しかし今はもうそこへは戻りたくない、今の生活を失いたくない、と正直に言っていました。
それを読み私は、「成金では志が低いのだろう」という率直な感想を持ってしまいました。
ところが今日のこのJANJANで非常勤講師の話を読んだら、田口さんの気持ちがよくわかりました。だって、もし私が大学の正規教員だとしたら、非常勤が困っているからと言って、「可哀想だな」と思っても、「じゃあ私のを分けてあげられるように制度を変えようよ!」とか「なら私が正規やめてもいいよ」とは、絶対言えないです。

自分は生活が困窮する、というところまで行ったことはない…。もちろん個々に程度の差はあるでしょう。でも悲痛な叫びを挙げているような人の気持ちを、私は一体どれくらいイメージできているのだろうか、と。
平和運動で「改憲反対!」というのはたやすい。そう運動して実際に自分の分け前が減るわけではないから。
なので、みつのぶさんの教え子さんの言葉は重いです。
いつもこういうことで悩みます。自分のずるさと無力さを感じます。
他方、本当に時間とお金がない状況にいる人では、そういう声すらあげられない日々、とも想像します。

とにかく思い上がらず、いろんな方の声をお聞きして、「知っていく」ことしかないかな、と今は思っています。
このブログでも勉強させてください。

Posted by 哲学する主婦 at 2007年05月30日 22:55
哲学する主婦さま、はじめまして。私も主婦なので、このブログに関心を持つお仲間ができたようでうれしいです。(勝手に仲間呼ばわりしてごめんなさい)これからも、コメントとか、投稿とかを楽しみにしています。
Posted by 上田 at 2007年05月31日 15:37
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