利害渦巻く自民党の中で総理大臣をやっていくのもたいへんです。政権がどこまでもつのか危惧の声がささやかれたり、安倍氏がナベツネ氏からサポート―あるいは誘導―発言を受けたりしている(次の「朝鮮日報」記事参照)背景を解き明かすような記事です。以下、引用…
あいまい戦略とアジア外交
安倍政権
米と財界は歓迎するが 【「しんぶん赤旗」2006年12/29】
支持率低下に頭を痛める安倍政権にとって唯一のプラス材料といわれるのがアジア外交です。しかし、アメリカには歓迎される一方、政権のコア(堅い)支持層は――。
「安倍首相はリスクの大きな選択をした。日中首脳会談の実現まではよいとして、来年は厳しい局面がくる。参院選後にはコアの支持層の突き上げがきつくなる。棚上げした靖国問題の決着を迫られる」。首相に近い自民党国会議員はこう指摘します。
安倍氏が、靖国神社に参拝するともしないとも明言しない形でこぎつけた日中首脳会談。安倍氏を支持してきた日本会議など右派保守層に不満がくすぶっています。
安倍首相は、首相就任以前、対中強硬論者の中心で、「対中国原理主義者」といわれました。九月の自民党総裁選で、「中国が軍国主義者と一般国民を分ける認識を示したことは事実だが、日本は合意していない」と発言、一九七二年の日中国交正常化の原点を否定してみせたものです。
しかし日中国交正常化は、日本が侵略戦争の責任と反省を表明、中国が戦争責任は一部の戦争指導者にあり、一般の日本国民も被害者だったとして賠償請求を放棄して実現しました。
ある国際政治学者は安倍氏について「発展する中国を認めたくなく、反発と警戒心が先に立つ。日本が一方的に譲歩を強いられているとの思いから中国への対抗心をかき立てる。歴史認識、アジア観の根底にそれがある」と指摘します。
次期首相が確実視されていた安倍氏の発言がメディアを動かし、右派論客、右派保守層が呼応して排外的ナショナリズムを増幅してきました。
しかし首相就任後、中国と戦略的互恵関係を打ち出した安倍首相。靖国参拝をすれば自身の外交成果を台無しにしてしまうというジレンマを抱え込んでいます。
安倍政権成立の内外要因が、アジア外交を拘束しています。
安倍首相の転換について韓国の知日派の一人、陳昌洙・世宗研究所日本研究センター長は十一月下旬、都内での講演でこういいました。「小泉首相の構造改革を引き継いだ国内政治で点数を得るところはなく、アジア外交でしかポイントをあげることはできない」
小泉政権で行き詰まったアジアとの関係改善は、日本財界の強い意向でもあります。「日中首脳会談をやったことで、安倍政権の役割の半分は終わった」。財界からはこんな声が漏れてきます。
アメリカのブッシュ政権は安倍政権発足に強い影響を与えました。靖国参拝問題で緊張関係がつづく日中関係でアメリカは何をするべきか。九月中旬、安倍首相と親しいマイケル・グリーン前米国家安全保障会議アジア上級部長が米国議会で証言しました。
(1)日中関係の険悪化は、米国の利益にならないことを明確にする
(2)日本に米国の対中戦略を説明し、理解を得る――。
中国・アジアの安定と発展はアメリカの国益に直結しています。北朝鮮問題や東アジア共同体構想などを抱えるアジアで信頼されていないアメリカにとって、日本はアメリカのアジア戦略の土台です。
今月はじめ、ニューヨーク。アーミテージ元国務副長官は講演でいいました。アメリカにとって日本が重要なのは「価値観を共有しているからだ」。アメリカのアジア戦略に沿って始動した安倍・アジア外交への評価です。(星英雄)

