「『やむにやまれず』立ち上がった人々」にも紹介されていた広田照幸先生によると、国や行政が一番「愛国心」で道徳心を養いたいと思う(つまり問題行動を起こすような)生徒は、そうした縛りというか強要には一番拒否反応する子たちだから、実質的にはほとんど何の効果もないだろうと言われます。
そして、日本のような上意下達が万全に機能する国は他にないでしょうから、うまくいかない「愛国心」の強要は、日ごとに濃密化・日常化し、ミクロな身振りや行為が統制され、また情念のストーリーに影響されやすいテロ少年の培養にお墨付きを与えることになってしまうとも述べておられます。(世織書房『《愛国心》のゆくえ―教育基本法改正という問題』参照。たいへん説得力のある教育社会学の本ですが、残念ながら、現在のところ売り切れで手に入りにくいです)。
昨年度の小学校六年生の通知表に「国を愛する心」などの評価項目を設けた九市六町六十六校のうち、本年度から表現を見直したり、「愛国心」の部分を削除した学校が四十五校に上ることが埼玉新聞社の調べで分かった。
「保護者に分かりづらい」「誤解を招く」などを理由にした学校が多いほか、「評価に愛国心の項目は必要ない」(今年六月、小泉首相答弁=当時)の発言を受けた学校も。
「国を愛する態度」が盛り込まれた改正教育基本法が成立したことで、項目が復活するのではとの見方も出ている。
県教育局、さいたま市による調査では、二〇〇五年度の通知表で「愛国心」の評価項目があったのは六十六校。
「国を愛する心情」の育成が明記された新学習指導要領が施行された〇二年度以降に「愛国心」を盛り込む学校が増えた。
本社の調べによると、〇六年度から項目を見直したのは、鴻巣市(十六校)さいたま市(六校)深谷市(六校)熊谷市(五校)寄居町(三校)幸手市、吉川市(いずれも二校)羽生市、白岡町、鷲宮町、長瀞町(いずれも一校)。そのほか四校が導入していた騎西町では学校で協議した結果、一校が削除したという。
見直しの理由について「『国を愛する心情』を持っているかどうか評価できない」と評価の難しさを挙げた市町教委もあった。
「心を評価していないが、保護者に誤解を与えないように」「国会で『必要ない』という議論もあった」などと説明した市教委も。
表記を変更しなかったのは行田市(十四校)上尾市、杉戸町(いずれも二校)騎西町(三校)。
「学習指導要領に掲げられており、今後も削除の予定はない」「『国を愛する』という言葉を使うか使わないかだけで、各学校とも評価する内容は変わらない」としている。
「国を愛する」などの目標が盛り込まれた改正教育基本法が十二月に成立。約九割の小学校で評価項目を継続する行田市の男性小学校教諭(47)は「教基法改正で、行田は国の“お墨付き”をもらった形。
逆に削除した学校は対応に困るのでは」と語った。一方で、羽生市のある校長は「教育基本法が変わったからと言って現場が即、反応することではない」と話した。
林量俶埼大教授(教育法学)は「(国を愛するという目標が)学習指導要領から教育基本法に格上げされたということ。改正法に基づいてこれから関連法も見直されるので、何らかの影響はあると思う」と話している。

